■■<SCARAロボットの発想>■■S-022
ホーム設計製図資料 2009-6-30記述


SCARA  1号機 (富士通) のスケッチ  最近のSCARA <引用>東芝機械 SR-424HSP 

■多関節ロボットの中で、スマートな設計だと感心するのがスカラロボットである。ロボットとしては決してその自由度は高くないが、自動組立てにおいて圧倒的な威力を発揮する。発明者は山梨大学の牧野洋教授らである。機構設計をしたときに、その組立てのしやすさを「組立性評価点」で判定される。部品やネジが上方から垂直に組み付けられるのがベスト。側方アクセスは減点、下方から垂直上方にアクセスするのが最低であった。 これはロボットによる自動組立てでなくても、人手によるドライバ組立てでも同じだ。このSCARAロボットは、部品やネジが上方から垂直に組み付けられて初めてその特性を発揮する。逆に言うと、機構設計者は、このSCARAロボットの特性を良く理解して設計しなければならないのだ。

■若い頃、アナログ・ウオッチのムープメントの組立てラインを見学させてもらったときに、ずらりと並んだSCARAロボットが、ほとんど全ての部品を上から下に置いていくだけで組立てさせいてる様子を見た。ライン設計よりも、それに対応する機構設計していることに感銘を受けた。 



■山梨大学名誉教授・牧野洋さんは次のように語っている。
……会社をやめて、山梨大学に奉職したのが1966年、精機学会の中に自動組立専門委員会を作り、この委員会の中では、当時日本で導入が始まったばかりの自動組立に関するさまざまな問題の議論が行なわれた。
 実験を行なっているうちに、どうもおかしいということに気が付いた。REGOは0.5ミリずれても入る。一方、機械の分解能は0.01ミリで50倍の余裕があるにも関わらず、10回に1回ぐらいは入らない。

 軸を穴にはめこむ時、芯ズレがあると、力やモーメントがかかる。その大きさと方向を測定して、逆方向に芯ズレを直せばよい。これがいわゆる力フィードバック方式だ。それに対して、機構の持っている柔らかさを利用して、こじれないようにうまく押し込んでしまおう。これがコンプライアンス方式である。その時に、軸が傾くとこじれるので、傾きモーメントに対するコンプライアンス(ばね定数の逆数、柔らかさ)は小さくして、横ずれに対するコンプライアンスを大きくしたら良いのではないか。これが選択的コンプライアンス(Selective Compliance)の考え方である。それではそのような性質を持つ機構はどうしたら実現できるか。屏風型にしたら? こうしてSCARA(Selective Compliance Assembly Robot Arm)のアイデアは出来上がったのである。思い付いたのではなく、思い至ったのだ。……

■屏風を開いて立てると、垂直方向には強い強度を示すが、横方向には小さな力を加えるだけで、動いてしまう。これを「屏風は横方向にはハイ・コンプライアンスだが、縦方向にはロー・コンプライアンスである」と言う。
 最近のSCARAを見ると、屏風型と言われてもピンとこない形態をしている。しかし、最初に作られたSCARAは本当に牧野教授が屏風から発想したと理解できる形態である。それが、一番上に挙げたスケッチである。これは、1980年に牧野教授の発想に基づき、富士通生産技術本部が設計した記念すべき世界初のSCARAロボットである。インターネットでその写真を始めて見ることが出来て、ついスケッチしてしまった。
 





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