■■<センサの精度と分解能>■■S-013
ホーム設計製図資料 2008-5-6記述

■センサの「分解能」は目的とする制御量と同じか、もしくはそれ以上の「分解能」にしなければならない。一般には同じにする。すなわち1μm単位の制御をしたい場合には、「分解能」1μmの位置検出センサが用いられなければならない。そして、その位置センサが1μmの「分解能」を保証するためには、センサは「分解能」の5〜10倍の「精度」をもっていなければならない。一般には10倍の「精度」とする。

■「精度」「分解能」の概念はうっかりしなくても混同しやすい。別に「感度」という概念もある。
   「精度」=Accuracy
   「感度」=Sensitivity
   「分解能」=Resolving power
 測定においては、分解能とか感度とか精度という言葉を用いるが、その意味あいは混同しやすい。必ずしも「分解能」、「感度」や「精度」についての明快な定義を知ることはできない。だから、センサーの精度は分解能の10倍必要であるという設計にとって重要な概念が的確に理解されないこととなる。

■そもそも「正確」さと「精密」さとは違うのだろうか。機械工学には精密工学という領域はあるが、正確工学というものはない。広辞苑によれば、「正確:正しくたしかなこと」「精密:くわしくこまかいこと」とある。そもそも広辞苑は古典や文系書籍から語彙を抽出しているので、工学用語の定義を求めるにはふさわしくない。
 大学の教科書の序文に「精密測定」を定義して次のような説明があって長く印象に残っていた。「精密測定は機械部品の大量製作に伴う生産計画に関し、…生産を向上させるために如何なる程度まで「不精密測定」をしてよいかを考察する工業技術の一部門といってもよい。「不精密測定」の限度は製品の公差に関係する。生産計測に従事する者は、常に要求されている製品公差を念頭において、適切な測定手段を選ばねばならない。」(引用:精密測定:副島吉雄・米持政忠,共立出版,1957)
 精密さとは、どれだけ不精密であるかを許容できるかということである。しかし現代の測定環境は大変恵まれていて、時間・費用・専門家を駆使することで、どのようなものでも測定可能となってきているように見える。明らかな設計ミスであって、きちんと材料力学レベルの計算をしなおせばすむような技術問題に対してまで、CAEによる解析データを要求する技術管理者や、それに応えて必要以上に精密な測定を行ったり、長期の信頼性試験を行ったりする品質保証部門は少なくない。
 問題に対しては、それを取り扱うのにふさわしいスケールがある。表面的に精密さ・正確さを求めることは、真の問題解決につながらない。

■一般用語としての「精密さ」と「正確さ」は定義できないが、測定の世界ではきちんと定義されている。下の図を参照しながら読んで欲しい。基準とする値(目標値)に対して、あるセンサで計測した値を実現値とする。その結果の集団は正規分布する。この集団の平均値と目標値の差のばらつく範囲が「正確度」である。正規分布した計測値の偏差(分布の山が立っているか、寝ているか)が「精密度」である。測定の世界では、「かたよりの少ないことが正確」であり、「ばらつきの少ないのが精密」なのである。
 たとえば、かたよりδ=4μm、ばらつきε=10μmであるようなシステムの全体としての精度Sはどう評価されるか。
   S=δ+ε
   精度S=10.8μm
この正確さと、精密さの違いに着目したのが、品質工学における2段階設計(パラメータ設計)である。我々はしばしば、単なる誤差という呼び方をして「かたより」と「ばらつき」のごっちゃにして議論している。たとえば、正確だが精密ではない現状のシステムがあったとして、改良の結果、精密だが、正確ではない状態になった。ダメだと言われるだろうが、実はこれはかなり見通しがあるのである。

「分解能」と「感度」は同一の概念である。
 読み取る事が出来る測定値の最小変化で、測定方式または測定機器によって決定される測定の細かさの限界(識別限界)が分解能(感度)である。「最小測定単位」と呼んでもよい。目盛の付いている測定器であれば、その最小目盛が「分解能」(感度)である。ある量(例えばミクロン・オーダでの寸法:T)を制御している。その最小ばらつき(分解能)を±(τt)とするように制御している。この時、制御結果を測定するセンサの精度を±(τs)とすると、定式から、制御量Tの測定結果のばらつき(τ)は
                 (τ)=(τt)+(τs)
 制御のばらつき(τt)=1ミクロン、センサの精度(τs)=1ミクロンとすると、測定のばらつき(τ)=ルート2=1.414と大きくなる。センサの精度が10倍であれば、(τ)=1.005となって、測定誤差を拡大しない。



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