■■<サーミスタと熱電対>■■S-020
ホーム設計製図資料 2009-1-17記述

■たまたま「熱電対」を装置組込みで使う設計を検討する必要があった。アルメル・クロメル、学生時代に習ったまま何故かこの材料名を忘れない。測定で使うことはあったが、かつて熱電対を設計に使ったことがなかった。そういうときには、サーミスタを使えば良かったからである。と言うことで、今日はサーミスタと熱電対の特徴を整理してみたい。
 サーミスタとは、温度変化によって抵抗が変化する材料である。実は普通の導電体も温度によって抵抗が変化する。銅線は温度が上がると抵抗が増え、電流が減ってしまうので、コイルによるアクチュエータのパワーは温度が上昇すると低下する。だからサーミスタとはと言われたら「サーミスタとは温度変化に対して大きな抵抗変化を示す素子である」と言う必要がある。サーミスタには3種の構造があり、それぞれ用途に応じて使われる。

NTCサーミスタ
negative temperature
coefficient
PTCサーミスタ
positive temperature
coefficient
(村田製作所:ポジスタ)
CTRサーミスタ
critical temperature
resistor
特性 温度上昇すると抵抗が線形的に減少する。
温度上昇すると抵抗が増大する。

キューリ温度を越えると抵抗が急激に減少する。
用途例 温度センサ
回路温度補償
電流制限素子
成分 マンガン・コバルト・ニッケル・鉄など チタン酸バリウムなど 酸化バナジウムなど
                       特性グラフは村田製作所のサイトより引用した。


 NTCサーミスタは比較的正確な温度測定ができる。PTCサーミスタは線形性は低いが、具合のよい温度範囲であれば、温度センサとして使えるだけでなく、温度が上がると抵抗が増えるので、回路の電流を制限できは加熱防止対策にもなる。
■それではサーミスタでなく、なぜ熱電対を使うかであるが、ポイントは熱電対の測定精度がサーミスタより高いことと、耐熱温度が高く非常な高温を測定できることにある。サーミスタは普通は200℃以下で用いられるが、熱電対は1000℃でも使える。
 熱電対の原理はゼーベック効果(Seebeck effect)による。これは2種の金属を両端で接続したとき、その両端に温度差があると、電圧が発生することをゼーベックが発見したことによる。電圧を温度に変換するペルチェ効果と逆な現象である。
 種類はJISによって以下のように定められている。測定精度はクラス1~クラス3で、数字が小さいほど高精度になるが、その数値は種類によって異なる。一般的には悪くても±2.5℃程度だが、問題は使い方である。使い方(接続の仕方)によって、カタログ上の精度より大きな誤差が出てしまう。

種類 材質 使用温度 特徴 
+側: アルメル
-側: クロメル
-200℃~1000℃ 最も一般的に使われる。線形性が高く、1000℃以下の耐酸化性環境で使われる。還元性環境では使用不適。
+側: 鉄
-側: コンスタンタン
0℃~ 600℃ 鉄を使用しているので耐還元性は良好。酸化性雰囲気での使用不適。
+側: 銅
-側: コンスタンタン 
-200℃~ 300℃ 低温での精密測定に適する。銅を使っているので高温の酸化性雰囲気での使用不適。
+側: クロメル
-側: コンスタンタン 
-200℃~ 700℃ 耐酸化性は良好。還元性環境では使用不適。熱起電力が高い。
+側: ナイクロシル
-側: ナイシル 
-200℃~1200℃ K熱電対を改良したもの。高温での使用可能。
+側: 白金ロジウム合金
-側: 白金  
0℃~1400℃ 高温測定での精密測定に最適。熱起電力が小さいので低温での温度計測には不適。高温においても水素ガスや金属蒸気が発生する場合は不適。
+側: 白金ロジウム合金
-側: 白金 
0℃~1400℃
+側:白金ロジウム合金
-側:白金ロジウム合金 
0℃~1500℃ 1000℃以上の高温測定に適している。

■原理的に熱電対は2金属が高温側と低温側で接続される。高温側が測定対象熱源であることが普通であるが、そり正確さのためには低温側の温度が特定されていなければならない。これが基準温度であるが、単に室温であれば、その変動はそのまま測定誤差になる。また測定回路までの配線やコネクタの抵抗分の影響もある。厳密な測定のためには、「補償導線」や「熱電対専用コネクタ」が用いられる。



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